EK041-熱帯低気圧が台風10号に発達して台風9号の直後に上陸?米軍・ヨーロッパ・気象庁情報から解析!

2020年8月31日9時頃に小笠原近海で発生していた熱帯低気圧が、気象庁によると、9月2までに台風10号に発達する見込みであると発表されました。

週末にかけてゆっくりと本州の南に発達しながら北上する見込みです。

この記事では、この熱帯低気圧の危険度を、台風9号と合わせて米軍・ヨーロッパ・気象庁など複数の情報を元に解析、まとめていきます。



気象庁による台風9号と熱帯低気圧の現在位置

台風9号と熱帯低気圧の9月1日12時の現在位置

2020.09.01-Typhoon-9 and 10-KishoCho-2000

 

  • 台風9号は9月1日20:45現在、久米島の北約230km に位置しています。
  • 熱帯低気圧 b は9月1日19:05現在、小笠原近海に位置しています。

台風9号

中心気圧 935hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)

熱帯低気圧 b(台風10号)

中心気圧 1002hPa
最大風速 15m/s(30kt)
最大瞬間風速 23m/s(45kt)

太平洋上には、他にすぐにでも台風になりそうな熱帯擾乱(ねったいじょうらん)が無いため、この『熱帯低気圧 b』が次の台風、『台風10号』になるのは間違い無さそうです。

日本気象協会による熱帯低気圧の進路予想図

2020.08.31-Typhoon-10-NihonKishoKyokai-1819
8月31日18:19現在

この進路予測によると、この熱帯低気圧は

  • 9月6日頃には西日本付近に接近する可能性がある
  • その頃には中心気圧が950ヘクトパスカルほどまで下がる可能性がある

ことが分かります。

ウェザーニュースによる熱帯低気圧の進路予想図

2020.09.01-Typhoon-10-WeatherNews-1000
9月1日11:14発表

小笠原近海の熱帯低気圧は次第に雲がまとまってきています。9月2日までには台風まで発達し、台風10号となる見込みです。

▼熱帯低気圧 9月1日(火)9時
擾乱種類   熱帯低気圧(TD)
存在地域   小笠原近海
移動     南南西 15km/h
中心気圧   1006hPa
最大風速   15m/s
最大瞬間風速 23m/s

▼予報 24時間後9月2日(水)9時
擾乱種類   台風(TS)
存在地域   小笠原近海
移動     西 10km/h
中心気圧   996hPa
最大風速   20m/s(中心付近)
最大瞬間風速 30m/s

なお、今年は海面水温が高い海域がかなり北まで広がっており、本州沿岸でも海面水温が30℃近い異例の暖かさとなっていますが、一般的に、海面水温が28℃程度以上では熱帯低気圧や台風が発達しやすく、熱帯低気圧は勢力を強めながら西進する見込みです。

2020.08.30-Typhoon-10-WeatherNews-0000
8月30日現在

さらに、上空の風が弱いなどの条件が重なると、日本の沿岸に達した場合に普通の台風のようには勢力を落とさない可能性があり、場合によっては発達最盛期の状態で接近・上陸ということも考えられます。

米軍合同台風警戒センター(JTWC)による台風9号と熱帯低気圧の進路予想図

米軍合同台風警戒センター(JTWC: Joint Typhoon Warning Center)は、米国ハワイ州にある米国国防総省の機関です。

2020.08.31-Typhoon-10-JTWC-1730
9月1日2:30現在
2020.08.31-Typhoon-9 and 10-JTWC-TC-Warning-Graphic-1730
9月1日2:30現在

JTWC では台風9号と熱帯低気圧(台風10号)は別々に進路予測していて、重ね合わせる事は出来ません。

横に並べて見るしかないですが、台風10号の方が台風9号より東で発生して、同じ様に東側を通って日本に近付く事が予想されています。

ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)による台風9号・10号の進路予想図

ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF: European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)は、『スーパーコンピュータによる予報』ですが、こちらが8月31日21:00現在の、ECMWF による台風9号・10号の様子を予報した画像です。

2020.08.31-Typhoon-9 and 10-ECMWF-2100

この予報によると、9月5日は、台風9号が北側に抜けた直後、南側から台風10号が接近してくる、という状況になり、特に西日本は休む間もなく台風10号の接近に備えなければなりません。

Windy による熱帯低気圧の進路予想図

Windy は、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)をモデルにしていて、パイロットは政府機関でも利用されているツールです。

風の向きや流れが視覚的にわかるようになっていますね。

なお、画面の右上にある『風』をタップし、さらに『風速』をタップすると、台風のリアルタイムな現在位置や風の流れなどがわかります。

歴代台風の危険度

台風の性格を知る上でよく、『中心気圧』が目安とされていますが、その発生した場所や暴風域の広さなど様々な要因が絡んで被害の大きさが変わってきます。

ここでは、中心気圧を見ながら、歴代の台風の被害と紐付けて考察したいと思います。

順位 名称 国際名 中心気圧
(hPa)
観測年月日 観測地点
1 昭和54年台風第20号 Tip 870 1979/10/12 沖ノ鳥島南東
2 昭和48年台風第15号 Nora 875 1973/10/6 フィリピン東方
昭和50年台風第20号 June 1975/11/19 マリアナ近海
4 狩野川台風
(昭和33年台風第22号)
Ida 877 1958/9/24 沖ノ鳥島付近
5 昭和41年台風第4号 Kit 880 1966/6/26 南大東島南方
昭和53年台風第26号 Rita 1978/10/25 フィリピン東方
昭和59年台風第22号 Vanessa 1984/10/26
8 昭和28年台風第7号 Nina 885 1953/8/13 フィリピン東方
昭和34年台風第9号 Joan 1959/8/29 宮古島南方
昭和46年台風第35号 Irma 1971/11/12 フィリピン東方
昭和58年台風第10号 Forrest 1983/9/23 沖ノ鳥島南方
平成22年台風第13号 Megi 2010/10/17 フィリピン東方

上の表は歴代の台風を中心気圧順に並べたものですが、気象庁が発表している「災害をもたらした気象事例」には、1位の『昭和54年台風第20号』以外載っていません。

明治以降の日本における台風の災害史上最悪の惨事となった『伊勢湾台風』でさえ、上の表には載っておらず(中心気圧:894hPa)、中心気圧と被害は直結していない事が伺えます。

では逆に、被害が甚大だった台風をいくつかピックアップし、なぜ被害が大きくなったのか?と検証していきましょう。

昭和54年台風第20号(1979年)

1979年10月6日にトラック島の南東海上で発生した台風第20号は、12日には中心気圧が870hPa と、観測史上世界で最も低い気圧となるなど猛烈に発達しました。 その後やや衰えたものの、非常に強い勢力を保ったまま西日本に接近し、19日朝、和歌山県白浜町付近に上陸しました。 その後本州を縦断し東北地方から海上に出て、北海道東部に再上陸し、温帯低気圧に変わって再び発達しました。

この台風は大型で暴風域が広く、ほぼ全国を暴風域に巻き込みました。 館山(千葉県館山市)で50.0m/s、網走(北海道網走市)で37.4m/s の最大瞬間風速を観測するなど全国各地で暴風が吹きました。19日には、静岡県石廊崎で8.24m の有義波高を観測しました。 北海道の東部では漁船の遭難が相次ぎ、67名の死者・行方不明者が出ました。

気象庁によって解析された140kt(約72m/s)の最大風速は、台風の最大風速の記録が残る1977年以降第1位の記録です。暴風域は直径740km と非常に大きく、さらに「猛烈な勢力」であった期間は66時間にも及び、1977年以降4番目に長い記録となりました。総移動距離も6,872km(歴代9位)と非常に長かったそうです。

※中心気圧、暴風域、最大風速、波高、猛烈な勢力の持続時間、総移動距離が被害甚大の原因

昭和57年台風第10号(1982年)

7月23日に日本の南東海上で発生した台風10号は発達を続け、最盛期を迎えた29日には、中心気圧900hPa、最大風速65m/s にまで成長、暴風域の直径は740km と、1977年以降で10番目に大きな台風となりました。

台風は8月1日に紀伊半島の南海上を北上し、2日0時頃には中心気圧970hPa で愛知県渥美半島に上陸し、同日早朝には富山湾から日本海へと進みました。 この頃に暴風域も消滅し、同日15時に温帯低気圧に変わって、東北地方に接近しました。

四国地方東部、中国地方東部から東北地方にかけての広い範囲で大雨となり、近畿地方から東北地方にかけては暴風が吹きました。奈良県日出岳では8月1日に日降水量844mm を記録したほか、同日に静岡県石廊崎で10.15m の有義波高を観測し、1976年の観測開始以来、第1位の記録となりました。 近畿地方・北陸地方・関東地方で被害が大きく、全国の死者・行方不明者は95人となりました。

※暴風域、降水量、波高が被害甚大の原因

昭和52年台風第9号(沖永良部台風:1977年)

1977年9月2日12時に、カロリン諸島付近で台風9号が発生しました。当初台風は西北西に進んでいたものの、5日には進路を北北西に変えて勢力を強め、北東から北へと進路を変えて、9日23時前に沖永良部島を通過しました。その後は東シナ海で急に進路を西に転じて(この原因として、当初は太平洋高気圧の急激な発達が上げられたものの、実際はその頃大陸から進んで来た上層の寒冷渦との藤原の効果によるものと考えられている)中国大陸に上陸し、12日には弱い熱帯低気圧へと変わりました。

沖永良部(鹿児島県和泊町)では、9日22時50分に日本の観測史上第1位となる上陸時最低気圧907.3 hPa を記録し、同日22時過ぎに最大風速39.4 m/s(最大瞬間風速60.4 m/s)を観測しました。その後猛烈な風のために風速計の支柱が傾き、それ以後観測が不可能になったため、沖永良部測候所の見積もりでは、最大瞬間風速は80m/s に達したと言います。この台風の影響で、沖永良部島の半数の住家が全半壊するなど、大きな被害が生じました。東シナ海では、台風により多数の漁船が遭難寸前となりました。

また台風の北上に伴って、日本列島に沿うように停滞していた前線の活動が活発化し、九州地方から東北地方の太平洋側では、期間降水量が所々で400mm に達する大雨となりました。

※上陸時最低気圧、最大風速、降水量が被害甚大の原因

昭和51年台風第17号(1976年)

1976年9月3日、カロリン諸島東部に熱帯低気圧が発生し、4日にトラック島の北西海上で台風17号となりました。17号は北西に進みながら急速に発達し、8日に最盛期を迎え、中心気圧910hPa最大風速は60m/s を記録しました。

9日に南西諸島を通過後、10日から12日朝までの間は、九州の南西海上でほとんど停滞しており、13日1時40分頃、長崎県長崎市付近に上陸しました。その後は日本海を北東に進みますが、14日朝に温帯低気圧に変わる直前、秋田県の沖合付近で南側にUターンするという不思議な動きをした。

台風の長期間の停滞と、関東から四国付近での前線の停滞によって全国的に大雨となり、土砂災害や洪水などの被害が多発しました。九州から中部地方にかけては、期間降水量が500~1,000mm に達し、四国地方では2,000mm に達した所もあり、台風がもたらした総雨量は、834億トンにも達しました。総雨量1,000mm 以上を観測した地点は岐阜・三重・奈良・徳島・香川・愛媛・鹿児島県など、全部で23ヶ所にのぼります。徳島県木頭村日早では、総雨量が2,781mm に達したほか、香川県小豆島内海町では、1,328mm に達しました。岐阜県では、長良川の上流で1,000mm を超える降水のため、安八郡安八町で堤防が決壊して多くの家屋が浸水したといいます。

9月13日、兵庫県一宮町(現:兵庫県宍粟市一宮)で山津波が発生。この時、8日からの降水量が637mm に達していました。6時50分に一次崩壊、9時20分に土砂が流出し20分後に泥流した土塊によって下三方小学校が60m流されました。

※中心気圧、台風・前線の長期停滞、最大風速、降水量が被害甚大の原因

昭和34年台風第15号(伊勢湾台風:1959年)

1959年(昭和34年)9月20日にエニウェトク島付近で中心気圧1,008hPa の弱い熱帯低気圧が発生、西に進み、21日にはサイパン島の東を北上しながら次第に発達し、21日21時には、マリアナ諸島の東海上で1,002hPa の台風15号となり、再び西寄りに進路を変えて急激に発達しました。

9月22日9時には996hPa だったものが同日15時には970hPa、翌23日9時には905hPa となり、22日9時からの僅か24時間で91hPa も気圧が低下した事になります。15号の発達はさらに続き、23日15時には米軍の気象観測飛行機により、中心気圧は894hPa が観測されました。

すなわち、発生からわずか2日も経たないうちに、中心気圧が100hPa 以上も下がったことになります。中心付近の最大風速は75m/s(米軍の観測では90m/s)、風速25m/s 以上の暴風域は半径300km でした。

台風15号はその後もほとんど勢力が衰えることなく、9月25日昼ごろまで900hPa 前後の猛烈な勢力を保ち、進路を北西から次第に北に転じて26日9時には潮岬の南南西400km に達しましたが、その時点でもなお中心気圧920hPa、最大風速60m/s暴風域は東側400km西側300km という、猛烈で超大型の台風でした。

台風は26日18時過ぎ、929hPa の勢力を持って潮岬の西15km 付近に上陸しました。上陸時の勢力としては、本州へ上陸した台風の中では今でも史上最強の記録です。26日朝までの進行速度は30km/h 以下でしたが次第に加速して、上陸後は60~70km/h で紀伊半島を縦断し、中央高地を経て27日0時過ぎに日本海に抜けたころには90km/h にも達していました。27日9時前後に秋田県沖に進んだ中心は次第に消滅し、青森県の日本海上に新たな中心が生じて東北東進する『ジャンプ現象』を起こした。

台風は同日21時に北海道の東で温帯低気圧に変わり、東太平洋にまで達して10月2日に消滅しました。

伊勢湾沿岸の愛知県・三重県での被害が特に甚大であったことからこの名称が付けられた。死者・行方不明者の数は5,000人を超え、明治以降の日本における台風の災害史上最悪の惨事となりました。

※中心気圧、最大風速、暴風域が被害甚大の原因

考察

上陸時の中心気圧

中心気圧は確かに勢力を表す重要な要素ですが、『生まれたて』の若い台風の中心気圧で一喜一憂するのではなく、上陸時の中心気圧を見ないと意味がないですね。

熱帯低気圧が発達して台風になるのは熱帯地方ですが、そこの海表面水温が30℃だったとして、それが北上していくに従って海表面水温が下がってくるのが一般的です。おかげで水蒸気が喰えず、台風は勢力を落としていくのが普通です。

降水量

台風は低気圧ですから、大量の雨を運んできますが、それによって土砂災害が引き起こされて被害が大きくなります。問題は、どれだけの降水量の雨が、どれだけ連続して降ったか?です。

台風に刺激されて前線の動きが活発化すると、これも大雨に繋がりますので、要注意ですね。

暴風域の広さ

いくら中心気圧が低くても、暴風域が狭ければ被害は局所的になります。

移動速度

これも、暴風域の広さと同じ様に、速いと被害は局所的になります。

怖いのは、暴風域が広く、そして移動速度が遅い台風だと、暴風に曝されている時間が長くなってしまい、総降水量が自ずと増えてしまいます。そうすると広範囲で土砂災害は発生し、被害が甚大になる事もあります。

沿岸部の海表面水温

台風が発生した場所から上陸するまで、もし海表面水温が変わらなかったら?最大勢力のまま上陸する事になり、これは被害が甚大になります。

現在、本州も関東以南の海表面水温が30℃で、熱帯地方のそれと変わりがありません。

すると、今年の台風はみな、勢力が保たれるか、余計に強くなって上陸するという事もあり得ます。

伊勢湾台風も、台風になりたての時の中心気圧は1,002hPa でしたが、その後急激な成長をして最終的には894hPa にもなり、上陸時でも929hPa でした。

台風9号・10号は?

台風9号

9月1日20:45現在、久米島の北約230km にあり、北北東に向けて15km/h で移動中です。

※中心気圧は935hPa、最大風速は50m/s、最大瞬間風速は70m/s となっています。

予報では、9月2日6:00の時点で東シナ海に抜けており、北に向けて速度20km/h で移動中です。

※中心気圧は940hPa、最大風速は45m/s、最大瞬間風速は65m/s となっています。

現在すでに最大勢力となっていて、後は勢力を弱めながら東シナ海に抜けていく、という予報になっていますね。

台風10号

9月1日18:00の時点で小笠原近海にあり、南南西に向けて速度10km/h で移動中です。

※中心気圧は1002hPa、最大風速は15m/s、最大瞬間風速は23m/s となっています。

予報では、9月2日9:00の時点で小笠原近海にあり、西に向けて速度10km/h で移動中です。

※中心気圧は996hPa、最大風速は20m/s、最大瞬間風速は30m/s となっています。

これから成長していくようですが、どれだけ勢力を強くするか未知数です。

また、予想進路の海表面水温が高いので、勢力が弱まらない可能性が高く、こまめに注意しておいたほうが良さそうですね。

まとめ

小笠原の近海にあった熱帯低気圧が、遅くとも9月2日までに台風10号へと発達する見通しとなりました。

  • 中心気圧の推移(見通し)
    • 9月2日:996hPa
    • 9月6日:950hPa ほど
  • 9月5日頃、台風9号は九州をかすめて北上するも、台風10号が西日本に接近する可能性がある
  • 9月6日頃、台風10号が西日本に最接近する可能性がある
  • 関東地方以南の沿岸はほぼ30℃の海面水温なため、台風10号は勢力を落とさず、最悪な場合は発達最盛期の状態で接近・上陸ということも考えられる

※2つの台風が間髪入れずに接近してくるため、早めに台風対策をするようにしましょう。

なお、台風は来襲が予想できる数少ない自然災害の一つですから、直前でも準備が可能ですので、こちらの記事を参考に備えておくようにしましょう!

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