EK006-【ライブロック】失敗しない選び方は?キュアリング法やおすすめのレイアウトも紹介!

海水魚を飼育したことの無い方にはよく、

「ライブロックって、なに?」

と聞き返されてしまう事も多いのですが、海水魚経験のある方でも「いや、ただ何となく入れてる」という方も意外と多くいらっしゃいます。

ライブロックは、海水魚の飼育においてただの飾りではなく、非常に重要な『機能』をも兼ね備えているので、この記事で「いかに必要不可欠か?」という所も踏まえつつ、だからこその『失敗しない選び方』や、購入後に是非やっていただきたい事も紹介させていただきたいと思います。



ライブロックとは?

サンゴ礁_01

海水魚水槽の中で「デン!」と置いてある岩の事を『ライブロック』と呼びますが、英語で『Live Rock』つまり『生きた岩』の事です。

とはいえ、別に生きているからと言ってライブロックが泳ぐわけでも歩き回るわけでもないです。

でも、この『ライブロック』は間違いなく生きているんだよ!

多くのライブロックは、サンゴが死んだ後に残った骨格がもととなって出来ていて、この死んだ骨格の表面だけでなく内側にも、水中に暮らす様々な生物が棲んでおり、大きいものではサンゴやイソギンチャク、カイメンやホヤ、貝なども付着してますし、ヨコエビなどのカイアシ類やゴカイの仲間なども居ます。

そして微細なものでは、様々な種類のバクテリア達が『生きたまま』棲んでおり、片手で持てるような小さな岩なのに、いわば『小宇宙』のような存在になっているわけです。

ライブロックの浄化作用

ライブロック硝化還元

ライブロックは表面に微細な穴がたくさん空いた構造になっていて、多彩な微生物やバクテリアなどが棲み着きやすい構造になっています。

穴の断面は左の図のようになっていて、好気性バクテリアが右側、嫌気性バクテリアが左側に棲み着いてます。

そして水が右から左に流れると、好気性バクテリア達のおかげで、入り口付近のアンモニア(NH3:赤文字)が酸化して亜硝酸(HNO2:オレンジ文字)になり、さらに硝酸塩(HNO3:黃文字)となっていきます。

ある程度奥の方に進むと、水に含まれる酸素は好気性バクテリアにあらかた使い切られ、そこから先は酸素の極端に少ない状態になってしまってます。この環境で、嫌気性バクテリアは炭素をエサにして、硝酸塩を還元して窒素に変えてくれるのです。

『還元』とは、「酸素を奪う」っていう事だよ~!

この微生物達のおかげで、自然界では圧倒的に高効率な浄化作用が行われており、水質はいつまでも魚やサンゴ達に住みやすく保たれているのです。

魚の隠れ家

ニシキテグリライブロックは、元々がサンゴだったため、非常に入り組んだ複雑な形状をしています。

そのため、魚の隠れ家としても非常に重要な役目を果たしています。

特に、小さい魚と大きい魚を混泳させる場合は、小さい魚が大きい魚にいじめられないように逃げ込む場所や、ストレス軽減にも役立っています。

小型魚が容易に大型魚のプレッシャーから逃げられるよう、ライブロックを組む時は小さい魚が通れて大きい魚が通れない大きさの通り道が出来るようにしましょう。

ボクらが逃げ込める入り口があっちこっちにあると嬉しいな~!

ただし、水流の妨げになって淀んだ場所が出来てしまわないようにすることが大切です。

良いライブロックの見分け方

濾過装置としてはまさに『パーフェクトフィルター』とも言うべき性能、また小さい魚にとっては安心のシェルターとなるライブロックですが、実はその品質も「ピンキリ」です。

海水魚飼育の成功・失敗を左右するほどのものですので、ここはちゃんとした品質のものを選びたいものです。

良いライブロック

ライブロック

・上の写真のように、表面がピンク色や赤、紫色などの『石灰藻』という藻が付着している
・カイメンやホヤ、海草・海藻などの付着生物が付いている
・形がデコボコしていて、細かい空洞が多い
・磯の香りがする
・コケが生えてない
・あまり重くない

特に、においを嗅いでみて、嫌な匂いがしないものを選ぼうね!

また、『セイタカイソギンチャク(俗称:カーリー)』がライブロックに付着している場合があります。

茶色い地味な感じのイソギンチャクで観賞には不向きですが、ただ観賞に不向きなのではなく、他のイソギンチャクやサンゴなどを駆逐してしまうほど毒性の強い刺胞毒で、しかも繁殖力が強いので、いったん水槽内に入れてしまうと非常に厄介です。

ピンセットなどで取り除き、完璧を期するために、残った部分をハンダゴテで焼いてしまった方が無難です。

悪いライブロック

悪いライブロック

・上の写真のように、色が白い
・付着生物が付いてない
・形がなだらかで、空洞が殆どない
・硫黄の様な腐ってる匂いがする
・コケが生えている
・重すぎる

においを嗅いでみて、嫌な匂いがしなければ大丈夫!

特に、ライブロックをストックしている水槽の水が白く濁っている場合は、中のライブロックが腐っている可能性が高いです。

腐ったライブロックは付着生物が大量に死滅しているため、浄化能力を期待出来ないどころか、水質を悪化させる可能性もあります。

ショップに行ければライブロックの品質の良し悪しは簡単に見分けがつきますが、近くにショップが無い場合、通信販売に頼るしかありません。しかし、その場合も面倒がらず、まずはいくつかのショップに電話で確認してみるとことをお勧めします。

海水魚飼育の成功・失敗を左右するほどのものですので、ちゃんとした品質のものを選びたいものですし、この際ですから信頼出来そうなショップを見つけておきましょう。

なお、このライブロックにも『天然もの』『養殖もの』があり、さすがに養殖ものは品質が安定してます。

天然のライブロック

海底から拾ってきたライブロックです。

最近は、形状もよく品質の良い天然のライブロックはなかなか手に入りにくくなりましたし、ライブロックはそもそも『限りある資源』には違い無いわけで、日本国内で拾って来るのは禁止されています。

ライブロックに限って言えば、『天然もの』にこだわる必要性は無いと思います。

養殖のライブロック

以前は沖縄の限られたショップで『養殖』されてましたが、今ではいくつかのショップで『養殖もの』を取り扱うようになりました。

作り方は単純で、型で作った擬岩をサンゴ礁の海に沈めて養生するだけです。しかしもちろん、ただ海底に放置するのではなく、時々様子を見に潜る必要もありますので、それなりに手間がかかっていると考えてください。

なお、DIY 好きな人で、セメントとカキ殻で擬岩を自作し、他のライブロックと一緒に水槽に入れているうちに自然に石灰藻がついてライブロックになってくれるのを試される方もいらっしゃいます。

ライブロックの準備

ライブロックの形状選び

『ライブロック』と言っても色々な形状がありますが、枝サンゴの骨格から出来た、非常に入り組んだ形状のものが一番レイアウトしやすいと思います。

そのような形状のライブロックは珍しいので、ショップに入荷してもすぐに売れてしまう事もあるので、見つけた時は即買いしないといけない場合もあります。

キュアリングの必要性

ライブロックを購入後、ショップで入れてもらったビニール袋からライブロックを取り出し、いきなり「ドボン!」と水槽に投げ込んでしまってはいけません。

ただの岩ではなく、色んな『命』の棲んでいる『小宇宙』とも言えるライブロックですが、たとえショップからの輸送中でも、環境の変化などで助からないほど大きなダメージを受けてしまった生物を取り除く作業が必要ですが、それを『キュアリング』と言います。

よく、「キュアリング済」と謳っているショップもありますが、そんなライブロックからシャコが出て来た事もありましたし、たとえショップでキュアリングされてても、購入後に家まで運ぶ途中で死んだり、瀕死の状態に陥ってしまう生体も居ますので、家に着いたらキュアリングは絶対、行ってください。

キュアリング

キュアリングの前にする事

開封したらまず、ライブロックのくぼみや穴を丹念に見て、シャコやカニ、ウミケムシやウニ、セイタカイソギンチャクなど、『招かれざる客』が棲んでいないか調べ、取り除ける場合は取り除きます。ただし、シャコはすばしっこいので、難しいかも知れません。

シャコ・カニ

シャコは肉食系で、魚を食べてしまうので、非常にすばしこいですが、出来るだけ駆除した方が良いですが、「外観がかわいい」という理由で飼いたいのでしたら、本水槽とは隔離した環境で飼うと良いでしょう。

カニは肉食系と草食系のどちらも居ますが、見分けがつきにくいので、駆除しておいた方が良いと思います。

ただし、草食系でエメラルドグリーンクラブなど、コケを食べてくれる種類も居るので、とりあえず隔離して観察してみて、魚に害の無い種類であれば水槽に入れてあげても良いでしょう。

ウミケムシ

釣りのエサに使う『ゴカイ』の仲間で、体の表面にトゲがたくさん生えているので、『ウミケムシ』と呼ばれています。

陸上の『毛虫』は、サナギになった後に蛾や蝶になるわけですが、海の『毛虫』はサナギにも蛾や蝶にはなりませんが、やはり体表にあるトゲには毒があります。

この毒は刺されると痛いです(放っておいても3日もあれば痛みは引きます)し、魚も触れるとトゲが刺さってしまい、なかなか抜けないので、駆除しておいた方が良いと思います。

やはり『招かれざる客』なので、刺されないように気を付けながら駆除しましょう。

ウニ

ウニはむしろ観賞の対象になる種類も居ますが、ライブロック・サンゴ・水槽をかじるので、『招かれざる客』と言えると思います。もしそのリスクを負ってでも飼いたいのでしたらもちろん、駆除しなくても良いです。

セイタカイソギンチャク

セイタカイソギンチャクの刺胞毒は魚を麻痺させるのに充分な強さで、魚を食べてしまう事もあるので、『招かれざる客』です。そしてその毒と強力な繁殖力で、他のサンゴやイソギンチャクを駆逐してしまう厄介者です。

ピンセットなどでライブロックから引き剥がし、完璧を期するために、セイタカイソギンチャクが居た場所をハンダゴテで焼いてしまいます。

キュアリング

次に、バケツに海水を張り、ライブロックを投入します。

ウミケムシ対策

ライブロックキュアリング

小さなウミケムシは、なかなか取り切れるものでもないので、完璧を期して、バケツの底にペットボトルなどを置いて下駄を履かせ、海水1リットルあたり50cc の割合でオキシドールを入れます。

※ 装置は上の図を参考にしてください。

これは、オキシドールを入れて強めにエアレーションすると、ウミケムシが苦しんでライブロックから出て来るのですが、それがペットボトルの下に落ちると、ライブロックに戻れないからです。

この時、エアレーション(ブクブク)を強めにすると、オキシドールの効果が出やすくなるよ!

キュアリングは3日間

水温はだいたい26℃を目安にして、エアレーションしたまま3日ほど養生してください。

強めのエアレーションのおかげで水流も起きているので、他に特にやる事は無いです。

ライブロックの組み方

キュアリングが終わったら、ライブロックを水槽に「ドボン!」と入れられます。

ただし、ライブロックの平たい部分を底砂に乗せるように置くと、ライブロックに被された部分は完全に『止水域』となってしまいます(水が淀んでしまう)。そこにエサや魚のフンなどが溜まって不衛生になってしまうので、こういう『止水域』を作らないようにする工夫が必要です。

ライブロックスタンドを用意

ライブロックスタンド理想を言えば、アクリル製の『ライブロックスタンド』というものを使って、ライブロックを浮かせて設置するのが良いのです。

ただし相場が1個につき2,000~4,000円と、意外と値が張るものなので、いちいち買わなくとも、他のものでも代用が利きますし、少し DIY の心得のある方でしたら、自作してみてはいかがでしょうか?

ネットで検索してみると、けっこう自作してる方が居られる事がわかりますが、アクリル棒とアクリル板、もしくはアクリル棒と塩ビ板との組み合わせで、簡単に作られてます。

そもそも見えない場所に設置するものだから、売られているようなオシャレなもので無くても良いんだよね~!

むしろ外観はどうでもよく、強度さえあれば良いので、専用工具を使って作られた精度の高いものである必要もありません。極端な話、アクリル棒にカッターで切れ目を入れて「ポキポキ」折ったものを接着面だけ紙ヤスリで整えて、接着剤で組み立てただけでも問題ありません。

園芸用品で代用

猫よけマット(ブラックモデル)

のら猫よけマット(ブラック)また、水槽の規模やライブロックの大きさ次第ですが、中型のライブロックまででしたら、園芸用の『猫よけマット』で充分代用が利きます。

本来は、のら猫などが畑などに侵入するのを防ぐ目的のもので、上の写真のような、ポリプロピレン製の突起が無数に生えたマットです。

特筆すべきはその破格のお値段で、右の写真のようなもの1枚で、200円もしません。

これは好きな大きさに切り分けられるので、ライブロックの大きさにもよりますが、少なくとも4個分のスタンドが作れると思います。

ただし、ポリプロピレン製なため、あまり重いものを支える事が出来ないので、あくまでも中型のライブロックまでしかおすすめ出来ません。

残念ながら、小型~中型のライブロックにしか使えないんだ

猫よけマット(透明モデル)

のら猫よけマット(透明)

なお、一般的には『猫よけマット』の色は黒で目立たず何も問題ないと思いますが、もし気になるようでしたら透明タイプもあります。

こちらのお値段は若干高いですが、それでも200円チョットですので、ブラックモデルと大差ありません。

なお、こちらは強度の高いポリエステル製(ペットボトルの材質)なので、強度はポリプロピレン製のブラックモデルよりありそうですが、肉厚が薄いため、結果的には強度はそれほど大きな違いは無いように思えます。

なので、この製品でも中型ライブロックまでしかおすすめ出来ません。

これも残念ながら、小型~中型のライブロックにしか使えないんだ

塩ビパイプ

塩ビパイプ&継ぎ手

大型のライブロックの場合、ブラックモデルにしても透明モデルにしても、園芸用の『猫よけマット』だと強度に不安があります。

これは大型のライブロックに使おう!

そこで塩ビパイプを組み合わせて『ライブロックスタンド』を自作してみましょう。

上の写真は『四方ショートエルボ』という継ぎ手と、それに差し込む塩ビパイプです。

この四方ショートエルボに塩ビパイプを差し込み、反対側にも四方ショートエルボを差し込みます。

これを2セット作り、それぞれを塩ビパイプで繋げば完成です。

塩ビパイプには色々な規格がある

ホームセンターなどで実際に塩ビパイプを探してみると、その用途や材質、寸法などに色々な種類があって悩んでしまうかもしれません。

VP管を使おう

VP13&四方ショートエルボでライブロックスタンド自作

色々な規格があるなかで、一番需要が高くて一般的に使われているものに、『VP管』という規格のものがあります。

肉厚が厚いので強度は充分ですし、たいていのホームセンターで手に入りますし、最悪の場合でも通販で入手可能です。

そこで今回は、この『VP管』の呼び径13の塩ビパイプを使いましょう。

必要なものは、

1)VP13(1m)x1本:600円
2)四方ショートエルボ(VP13用)x4個:400円
3)塩ビカッター:1,000円
4)塩ビ接着剤:400円

合計で2,400円となりますが、3)と4)のカッター&接着剤の1,400円は初期投資なのでこれ以降ずっと使えますし、今後アクアリウムを趣味として続けていく場合、塩ビパイプの配管作業は必ずやられることになると思いますので、買っておいて損は無いと思います。

なので、実質は材料代の1,000円が要るという理解で良いと思います。

まず、VP13の塩ビパイプを切り分けます。

例えば、

・10cmx4
・5cmx4

に切り分け、10cm のパイプを、それぞれの四方ショートエルボを繋ぐように使い、5cm の パイプはライブロックを浮かすために、それぞれの四方ショートエルボから上向きに立たせるようにして使います。

これはほんの一例ですので、ご自身のライブロックや水槽の大きさに合わせてパイプの長さを変えても良いと思います。

大きめのライブロックを土台にする

ライブロック_02

ライブロックスタンドの上に大きめのライブロックを置き、それを土台にします。

その上に中くらいのや小ぶりなものを積んでいけば、バランスが良く組み上がります。

上の写真のように、大きなアーチ状の形状を作ると、ダイナミックな景観になるのでおすすめです。

また、そのアーチの下を魚が行き来するのが見れて楽しいだけでなく、水流が複雑な流れ方をするようになるので、水質管理の面でも有利となります。

接着剤を使う

デルフィスウォータージェル

せっかく気に入ったレイアウトに組み上がったライブロックが崩れてしまう事故は、実はけっこうあります。

また、サンゴを気に入った場所に設置したのに、ヤドカリや貝が動かしてしまい、最悪な場合、サンゴがライブロックから脱落していた、という事も。。。

こういう事故はしょっちゅうだよ~!

そういう事故を未然に防ぐには、接着剤がおすすめです。

ただし、水中でもしっかり使えて生体に無害なものを選ぶ必要がありますが、そんな要求にしっかりマッチした製品が、デルフィスという会社が発売している『ウォータージェル』です。

気に入ったレイアウトが決まったら、すかさずウォータージェルで接着してしまいましょう。

まとめ

ライブロックは、海水魚の飼育には欠かせない必須アイテムですが、選び方や導入の仕方など、いくつか押さえるべきポイントがありましたが、まとめると、

1)ライブロックは自然の『パーフェクトフィルター』
2)小魚が逃げ込んだり、ストレスを軽減する『シェルター』
3)良いライブロックは、石灰藻がついた磯の匂いがするもの
4)ライブロックは、必ずキュアリングすること
5)キュアリングは26℃で3日間かける
6)レイアウトでは、底砂の通水に気を付けること
7)事故のリスクを無くすため、接着剤を使うこと

以上、『失敗しないライブロックの選び方・キュアリング法やおすすめのレイアウト』について述べさせていただきました。

最後まで読んでくださりありがとうございます。