EK010-【海水魚飼育】RO水とは?アクアリウムで失敗しないおすすめの浄水器を紹介!

子供の頃は、親がよく築地の魚河岸に行って、超新鮮な食材を買ってきてくれたものです。そして、天ぷら用に車海老を買ってきたら、あまりにも活きが良かったので、

「食べてしまうのは可哀想!」

とばかりに金魚鉢を持ってきて、水道水に食塩を適当に混ぜてエビちゃんを入れた事があります。

そうです。水道水に、食塩。

子供の期待とは裏腹に、「ビチビチッ!」と暴れて動かなくなってしまいましたが、そのまま天ぷらに変身することになったと記憶しております。

という事で、今回は人工海水の素についてではなく、それを入れられる側の真水が、どうして水道水でなく、純水じゃなきゃダメなのか?という話と、純水を作る器具の紹介をさせていただきたいと思います。



水道水の安全性は、人間主体のもの

食塩を入れるなんていうのはもっての外ですし、結論から言うと、水道水をそのまま使うのも NG ですが、

「水道水の安全性は、厳しく管理されている!」

と言われても信じられますか?

水道水は、特に日本の場合、「大腸菌が入ってたらダメ」とか、「ヒ素の濃度はこれ以上ダメ」など、水道法で厳しく基準が設けられていて、とても安全に品質管理されています。

→ 水質基準項目と基準値:51項目(厚生労働省)

ただしこれ、人間にとってですが。。。

水道水は海水魚にとって、どのくらい危険か?

海水魚を飼うにあたって、飼育水は純水に人工海水の素を混ぜて作ります。

子供の頃とはいえ、エビちゃんには可哀想な事をしてしまったので、もう二度と同じ過ちを繰り返したくないです。

なので、ちゃんと器材を揃えて飼育水を作ってますので、生体の導入時に死なせてしまったことはありません。

ましてや、実験とはいえ、大切な生き物の致死量を実際に毒を盛って検証するなどしたこともありません。

ですが、ここで面白いデータがありますので、それを参考にして、「いかに水道水が生体にとって危険か?」をご説明したいと思います。

水道水に含まれる有害物質

体重差による毒の量の影響

人間ですら、肌の弱い方やアレルギーのある方などは、水道水のシャワーでてきめんに肌荒れを起こすと言われてます。

よく、「カルキが悪い」とか言われますが、原因となっている物質は人によって違うでしょうし、その物質の許される含有量も違ってくるハズです。

ただハッキリしているのは、たとえば体重わずか5g の生体が、50kg の女性でギリギリ大丈夫な毒を摂った場合、その生体にとっての毒性は1万倍という数字になってしまう、ということです。

それだと即死だよ~!

重金属

下記にあるのは、水道法での基準値が、生体に対してどれほどインパクトがあるか比較した表です。

※ 金魚やタコクラゲの幼生を使って自分で実験をしたわけではなく、ネットから入手出来るソースを利用している事をご了承ください。

水道水 金魚にとって問題無い含有量
【出典】raspberry republic
致死量(タコクラゲの幼生)
【出典】Marine Tech
天然海水
【出典】Newton別冊地球大解剖
Cu(銅) 1.0000000 mg/L 0.1000000 mg/L 0.0200000 mg/L 0.0001500 mg/L
Zn(亜鉛) 1.0000000 mg/L 1.0000000 mg/L 0.0003500 mg/L
Ni(ニッケル) 0.0100000 mg/L 7.0000000 mg/L 0.0004800 mg/L
P(リン) 70.0000000 mg/L 0.0620000 mg/L
Li(リチウム) 170.0000000 mg/L 0.1800000 mg/L
As(ヒ素) 0.0100000 mg/L 3.0000000 mg/L 0.0012000 mg/L
V(バナジウム) 2.0000000 mg/L 0.0020000 mg/L
Mn(マンガン) 0.0500000 mg/L 0.0000200 mg/L
Cd(カドミウム) 0.0100000 mg/L 0.0000700 mg/L
Se(セレン) 0.0100000 mg/L 0.0001550 mg/L
F(フッ素) 0.8000000 mg/L 1.3000000 mg/L
B(ホウ素) 1.0000000 mg/L 4.5000000 mg/L
Pb(鉛) 0.0100000 mg/L 0.1000000 mg/L 0.0000027 mg/L

表のままでは解りにくいので、グラフにしてみました。

※ 一部、天然海水に含まれるグラフが見えませんが、あまりにも微少なため、画像化出来なかったからです。

水道水基準の評価_02.04

このグラフからパッと見で解る事は、天然の海水中にある元素が、フッ素とホウ素を除き、桁違いに少ないという事です。

ただし水道水では、リン、リチウム、バナジウムに関しての基準そのものが無いので割愛します。

また、ニッケルはタコクラゲの幼生の致死量の700分の1、ヒ素は300分の1が水道水の基準値です。

そしてマンガン、カドミウム、セレン、フッ素、ホウ素については、金魚にとって問題無い含有量・致死量どちらのデータも無いので割愛します。(問題なしと判断するのではなく、検証対象から外す、という事です)

すると、注目すべき項目は、以下の3項目に絞られます。

・Cu(銅:水道法基準値=1.0mg/L)
・Zn(亜鉛:水道法基準値=1.0mg/L)
・Pb(鉛:水道法基準値=0.01mg/L)

水道水 金魚にとって問題無い含有量
【出典】raspberry republic
致死量(タコクラゲの幼生)
【出典】Marine Tech
天然海水
【出典】Newton別冊地球大解剖
Cu(銅) 1.0000000 mg/L 0.1000000 mg/L 0.0200000 mg/L 0.0001500 mg/L
Zn(亜鉛) 1.0000000 mg/L 1.0000000 mg/L 0.0003500 mg/L
Pb(鉛) 0.0100000 mg/L 0.1000000 mg/L 0.0000027 mg/L

対象となる生体によっても感受性が違いますが、この表を見やすくしたのが下のグラフです。

水道水基準の評価_02.03-03

・Cu(銅)に関しては、水道法の基準値は金魚にとって問題の発生しない量の10倍、クラゲの幼生の致死量の50倍となっており、水道水のままでは生体に及ぼす影響が大き過ぎるので、無害化処理しないといけない。

・Zn(亜鉛)に関しては、水道法の基準値は金魚への影響は判らないものの、クラゲの幼生の致死量と同量のため余裕が無い。リスクを考えると、無害化処理するのが望ましい。

・Pb(鉛)に関しては、水道法の基準値は金魚への影響は無いと判断されるほど低いが、クラゲの幼生への影響は判らない。金魚においては、銅に対する感受性と同等なので、クラゲの幼生の致死量も銅と同等と仮定すると、致死量は0.02mg/L と想定出来るので、水道水の基準値は致死量の2分の1となる。リスクを考えると、無害化処理するのが望ましい。

という結論に至ります。

※ これらの含有量を測定するのは、個人のホビーレベルでは難しいので、測定せずとも

水道水には重金属が入っているので、そのままでは使えない!

と理解しておいてください。

ちなみに、これら重金属などの有害成分は、テトラ社の『アクアセイフ プラス』で無毒化出来ます。

その他

重金属の他にも、水道水に含まれている『歓迎できない物質』は、数え上げたらキリが無いですが、みなさんご存知の『カルキ』こと『次亜塩素酸カルシム』は、消毒に使われた塩素と石灰が結合して出来た物質で、我々人間にとってはほぼ無害であったとしても、生体にとっては無視できない毒性を持ちます。

・Cl(塩素:アンモニアと結合して、鰓を破壊するクロラミンになる)
・PO43-(リン酸塩:コケが生え、無脊椎動物が不調になる)
・SiO32-(ケイ酸塩:茶ゴケが生えやすくなる)

そしてこれら有害物質は、とてもシンプルな言い方ですが、

RO/DI 浄水器を使って、まとめて除去する!

です。

RO/DI 浄水器を使うことにより、重金属・塩素・リン酸塩・ケイ酸塩などほとんどの有害物質を水道水から除去することが出来ます。

RO/DI 浄水器とは?

クロノスレインReverse Osmosis(逆に浸透する)膜と Deionization(脱イオン)樹脂を用いた浄水器で、水不足が懸念されるアメリカによって初めて実用化されました。

RO は『逆浸透膜』といい、超微細な孔は水だけを通し、イオンや塩類など水以外の不純物は殆ど通さない性質を持っています。

ちなみに、この逆浸透膜に空いているフィルター孔は、2nm (1mm の50万分の1)以下といった超微細なもので、これは日本の一般家庭で使われている浄水器のフィルター孔の1000分の1の小ささです。

アメリカではよく「水道水はそのままでは飲めない」といわれていますが、その対策としてアメリカの一般家庭の70%以上でこの逆浸透膜タイプの浄水器が使われているそうです。

そして、DI は『イオン交換樹脂』といい、RO で濾過しきれなかったイオンを除去します。

写真で紹介させていただいているのは、Aqua geek の『クロノスレイン』という製品です。構造としては、

1)5μセディメント
2)カーボン(活性炭)
3)RO(逆浸透膜)
4)DI(イオン交換樹脂)

という順序で水がフィルターを通って濾過され、最終的に99.9%の『純水』が出来上がります。

お値段はだいたい40,000円弱です。

おそらく、「チョットお値段が高いな!」とお感じになるかも知れませんが、この器材を使いさえすれば、水道水に含まれているあらゆる有害物質を除去出来てしまうんですから、むしろお値打ちでは?と思うのは私だけでしょうか?(笑)

加圧ポンプ

クロノスレイン加圧ポンプRO/DI 浄水器は非常に高性能な浄水器ですが、低い水圧ではその高い性能が充分に発揮できません。

具体的には60psi(4.2kg/cm2)以上の水圧が必要です。

ところが、日本の一般家庭の水道は水圧が60psi に届いてない所も多く、そのような水圧では本来期待されている性能が発揮出来ません。

具体的に言うと、生産する純水がポタポタと落ちる程度の僅かな量にしかならず、また浄化処理後に出る排水の量が多く、不経済です。

そこで、Aqua geek からは、専用の加圧ポンプも別売されています。

これにより水圧を60psi まで上げる事が出来、3時間に85リットルの純水を作る事が可能となりました。

ご家庭の水道の水圧が60psi の基準をマークしているか判らないかもしれませんが、クロノスレインには水圧計が装備されているので、ギリギリ、もしくはそこまで達していない場合は、この加圧ポンプを別途購入すればよいです。

お値段はだいたい15,000円弱です。

TDS モニター DM-1

クロノスレインTDSモニター高性能な浄水器も、使っているうちに段々と性能が落ちてきますが、これはフィルターが目詰まりをおこしてしまうからです。

また、4つのフィルター全部が同じ寿命ではなく、セディメントとカーボンがほぼ同時期に、一番最初に寿命が来ます。

そして、最後に濾過するイオン交換樹脂がダメになるまで、生産する純水の量は減りつつも、作られた純水の水質は落ちません。

とはいえ、フィルターの交換時期の目安がわからないと、有害物質がきちんと取り除かれているか心配になると思います。

そこで、Aqua geek からはメンブレンとイオン交換樹脂の間に設置してメンブレンまでのフィルターの水質をモニタリングできる、『TDS モニター DM-1』という装置が別売ですが出されており、この TDS の値が10以内でしたら、まだフィルターの交換時期ではない、と判断出来るようになってます。

お値段はだいたい5,400円ほどです。

ちなみに、各フィルターのお値段は、

・替え用セディメント:600円
・替え用カーボン:1,500円
・替え用メンブレン:12,000円
・替え用イオン交換樹脂:4,900円

となっております。

まとめ

天然の海水は、採取場所にもよりますが、サンゴ礁のキレイな水は、「とにかく何も溶け込んでいない」といった印象です。

なので、飼育水を作る時は、出来るだけ何も溶け込んでいない純水に、人工海水の素を溶かして使いたいものですが、そこで必要になってくるのが RO/DI 浄水器です。

1)RO/DI 浄水器は、Aqua geek の『クロノスレイン』がおすすめ

2)RO/DI 浄水器は、高い水圧で水道水を供給する必要がある

3)クロノスレインが必要としている水圧は、60psi(4.2kg/cm2

4)日本の一般家庭の水圧は60psi まで達していない場合が多く、その場合は加圧ポンプも別途用意する

5)フィルターの交換時期をチェックするため、TDS モニターを設置する

以上、水道水ではなく、なぜ RO 水が必要なのか?そしてアクアリウムで失敗しないおすすめの浄水器についてご紹介させていただきました。

人工海水の素を溶かし込まれる側の真水についての説明は以上になりますが、溶かし込む側の人工海水の方も奥が深いですよ!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。