EK011-【海水魚飼育】天然の海水を再現?キーとなる水槽の水質検査項目はこれだ!

海水魚にとって、一番棲みやすい環境とはなんでしょう?

「もちろん、海の水でしょ!」

と、正解を答えられる方が多いと思いますが、それでは果たしてご家庭に置かれている水槽の水が、天然の海の水と同じ、もしくはかなり近いレベルに維持出来ているか、ご存知ですか?



海水に含まれる物質あれこれ

地域によって違いはありますが、一応の目安としてこれだけの物質(元素)が含まれています。

名称 記号 元素属 平均濃度(mg/kg) 含有率
塩素 Chlorine 17Cl 17 19350.0000000 58.21%
ナトリウム Sodium 11Na 1 10780.0000000 32.43%
マグネシウム Magnesium 12Mg 2 1280.00000000 3.85%
硫黄 Sulphur 16S 16 898.000000000 2.70%
カルシウム Calcium 20Ca 2 412.000000000 1.24%
カリウム Potassium 19K 1 399.000000000 1.20%
臭素 Bromine 35Br 17 67.0000000000 0.20%
炭素 Carbon 6C 14 27.0000000000 0.08%
窒素 Nitrogen 7N 15 8.72000000000 0.03%
ストロンチウム Strontium 38Sr 2 7.80000000000 0.02%
ホウ素 Boron 5B 13 4.50000000000 0.01%
ケイ素 Silicon 14Si 14 2.80000000000 0.01%
酸素※1 Oxygen 8O 16 2.80000000000 0.01%
フッ素 Fluorine 9F 17 1.30000000000 0.00%
アルゴン Argon 18Ar 18 0.62000000000 0.00%
リチュウム Lithium 3Li 1 0.18000000000 0.00%
ルビジウム Rubidium 37Rb 1 0.12000000000 0.00%
リン Phosphorus 15P 15 0.06200000000 0.00%
ヨウ素 Iodine 53I 17 0.05800000000 0.00%
バリウム Barium 56Ba 2 0.01500000000 0.00%
モリブデン Molybdenum 42Mo 6 0.01000000000 0.00%
ウラン Uranium 92U 5 0.00320000000 0.00%
バナジウム Vanadium 23V 5 0.00200000000 0.00%
ヒ素 Arsenic 33As 15 0.00120000000 0.00%
ニッケル Nickel 28Ni 10 0.00048000000 0.00%
亜鉛 Zinc 30Zn 12 0.00035000000 0.00%
クリプトン Krypton 36Kr 18 0.00031000000 0.00%
セシウム Cesium 55Cs 1 0.00030600000 0.00%
クロム Chromium 24Cr 6 0.00021200000 0.00%
アンチモン Antimony 51Sb 15 0.00020000000 0.00%
ネオン Neon 10Ne 18 0.00016000000 0.00%
セレン Selenium 34Se 16 0.00015500000 0.00%
Copper 29Cu 11 0.00015000000 0.00%
カドミウム Cadmium 48Cd 12 0.00007000000 0.00%
キセノン Xenon 54Xe 18 0.00006600000 0.00%
アルミニウム Aluminum 13Al 13 0.00003000000 0.00%
Iron 26Fe 8 0.00003000000 0.00%
マンガン Manganese 25Mn 7 0.00002000000 0.00%
イットリウム Yttrium 39Y 3 0.00001700000 0.00%
ジルコニウム Zirconium 40Zr 4 0.00001500000 0.00%
タリウム Thallium 81Tl 13 0.00001300000 0.00%
タングステン Tungsten 74W 6 0.00001000000 0.00%
レニウム Rhenium 75Re 7 0.00000780000 0.00%
ヘリウム Helium 2He 18 0.00000760000 0.00%
チタン Titanium 22Ti 4 0.00000650000 0.00%
ランタン Lanthanum 57La 2 0.00000560000 0.00%
ゲルマニウム Germanium 32Ge 14 0.00000550000 0.00%
ニオブ Niobium 41Nb 5 0.00000500000 0.00%
ハフニウム Hafnium 72Hf 4 0.00000340000 0.00%
ネオジム Neodymium 60Nd 5 0.00000330000 0.00%
Lead 82Pb 14 0.00000270000 0.00%
タンタル Tantalum 78Ta 5 0.00000250000 0.00%
Silver 47Ag 11 0.00000200000 0.00%
コバルト Cobalt 27Co 9 0.00000120000 0.00%
ガリウム Gallium 31Ga 13 0.00000120000 0.00%
エルビウム Erbium 68Er 13 0.00000120000 0.00%
イッテルビウム Ytterbium 70Yb 15 0.00000120000 0.00%
ジスプロシウム Dysprosium 66Dy 11 0.00000110000 0.00%
ガドリニウム Gadolinium 64Gd 9 0.00000090000 0.00%
スカンジウム Scandium 21Sc 3 0.00000070000 0.00%
セリウム Cerium 58Ce 3 0.00000070000 0.00%
プラセオジム Praseodymium 59Pr 4 0.00000070000 0.00%
サマリウム Samarium 62Sm 7 0.00000057000 0.00%
スズ Tin 50Sn 14 0.00000050000 0.00%
ホルミウム Holmium 67Ho 12 0.00000036000 0.00%
ルテチウム Lutetium 71Lu 16 0.00000023000 0.00%
ベリリウム Beryllium 2Be 2 0.00000021000 0.00%
ツリウム Thulium 69Tm 14 0.00000020000 0.00%
ユウロビウム Europium 63Eu 8 0.00000017000 0.00%
テルビウム Terbium 65Tb 10 0.00000017000 0.00%
水銀 Mercury 80Hg 12 0.00000014000 0.00%
ロジウム Rhodium 45Rh 9 0.00000008000 0.00%
テルル Tellurium 52Te 16 0.00000007000 0.00%
パラジウム Palladium 46Pd 10 0.00000006000 0.00%
白金 Platinum 78Pt 10 0.00000005000 0.00%
ビスマス Bismuth 83Bi 15 0.00000003000 0.00%
Gold 79Au 11 0.00000002000 0.00%
トリウム Thorium 90Th 3 0.00000002000 0.00%
インジウム Indium 49In 13 0.00000001000 0.00%
ルテニウム Ruthenium 44Ru 8 0.00000000500 0.00%
オスミウム Osmium 76Os 8 0.00000000200 0.00%
イリジウム Iridium 77Ir 9 0.00000000013 0.00%
ラジウム Radium 88Ra 2 0.00000000013 0.00%

これら83種類もの物質を全部、適切な量を溶かして『完璧な人工海水』を造る事はもちろん不可能ですが、このうち上位13位までの物質だけでほぼ100%になってしまいます。

つまり、Cl(塩素)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、S(硫黄)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)、Br(臭素)、C(炭素)、N(窒素)、Sr(ストロンチウム)、B(ホウ素)、Si(ケイ素)とO(酸素)だけで、ほぼ100%になってしまうという事です。

塩とにがり

ですから、マクロな視点で見て円グラフに表示してみました。

海水に含まれている物質(グラフ)

海水ですから、NaCl(塩)の構成元素、Na(ナトリウム)と Cl(塩素)が大部分を占めていて、他は『にがり』となります。

にがりには、

・MgCl2(塩化マグネシウム)
・NaCl(塩化ナトリウム)
・CaCl2(塩化カルシウム)
・KCl(塩化カリウム)
・Br(臭素)
・MgSO4(硫酸マグネシウム)

などの化合物が入ってますが、グラフ内にある元素がいくつもくっついて、それぞれの化合物になっているというワケですね。

飼育水の水質の変化

誰でも水槽の立ち上げの時は、人工海水かもしくは天然海水を使うと思いますが、人工海水の場合、人工海水の素と純水から造る時、その純水の水質が問われてきます。

その後の飼育状況によっても、飼育水の水質は変化していくものですよね。

水槽立ち上げ時

天然海水で立ち上げた場合はおそらく問題ないと思われますが、人工海水で立ち上げた場合、人工海水の素を溶かす純水の水質は大丈夫でしょうか?

もし水道水や、簡易的な家庭用の浄水器で濾過された水が使われていたとしたら、『有ってはならないもの』が入っているリスクがあるので、けっこうシビアだと思います。

これについての詳細はこの記事を御覧ください。

→ 【海水魚飼育】RO水とは?アクアリウムで失敗しないおすすめの浄水器を紹介!

足し水による水質変化

飼育を続けていくと、いくら湿った気候の日本でも、飼育水の水分はどうしても蒸発していってしまいます。

そこで水分の蒸発を補うため『足し水』といって純水を足すのですが、この『足し水』の水質は大丈夫か?という事です。

上記で水道水の危険性について軽く触れましたが、水道水を足していたとしたら、徐々に『有ってはならないもの』が水槽内に蓄積する事になります。

問題は、よく話題に登るカルキだけじゃないんだよ!

水道水の危険性についての詳細はこの記事を御覧ください。

→ 【海水魚飼育】RO水とは?アクアリウムで失敗しないおすすめの浄水器を紹介!

与えるエサによる水質変化

エサは何を与えているか?にも依りますが、魚にエサを与えれば多少なりとも残った分が水槽内のどこかに流れ着き、濾過されるかもしくはそのまま腐敗します。

また、魚は食べた分の100%の効率で成長するわけではなく、どんなに消化吸収率の良いエサを与えても、フンは出ます。

足し水でもそうですが、水槽を立ち上げた後に水槽内に追加するものは全て、水槽内に蓄積していくものだという事をご理解ください。

魚による水質変化

エサのみに留まらず、海水魚達は海水から直接、様々な元素を摂って生命を維持しています。

具体的には、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、P(リン)、I(ヨウ素)、Zn(亜鉛)、Se(セレン)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)などが必要と言われています。

ということはつまり、上記でご紹介した海水のほぼ100%を占める元素以外にも、P(リン)、I(ヨウ素)、Zn(亜鉛)、Se(セレン)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)などの、微量しか入っていない元素の含有量も再現しないといけないようですね。

そしてこれらの元素は、水槽の立ち上げ当初から減っていく、という事です。

サンゴなどの無脊椎動物による水質変化

様々な色・形をしたサンゴは無脊椎動物の一種で、体内に共生藻(褐虫藻)を持つ種類は、その藻類が光合成で作り出す栄養分を利用しています。

つまり、そのような種類のサンゴは、共生藻に必要な栄養が海水中に有ることが必要となってきます。

Mg(マグネシウム)、N(窒素)、P(リン)、Mo(モリブデン)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)などは、全ての藻類に必須だと言われてます。

すると、魚にとって必要な元素以外にも、Mo(モリブデン)の含有量も再現しないといけなそうです。

これらの元素は、サンゴを飼っている以上、水槽を立ち上げた時からドンドン減っていく、という事です。

水質変化のまとめ

水槽を立ち上げた時はおそらく『理想的な元素配合』だった飼育水も、飼育を続けていくうちに、

1)足し水によって『有ってはならない元素』が蓄積していく
2)エサをあげる事によって『増えてはならない元素』が蓄積されていく
3)魚やサンゴなどの生体が消費する事によって『減ってはならない元素』が減っていく

という変化が起こっていきます。

これを放置すると、水槽内の生体が病気になったり、死んでしまったりするので、正しい値になるように管理していくようにしましょう。

トリトンメソッド

おそらくお聞きになった事のある方は少ないかも知れませんが、上記でご紹介させていただいた、微量元素を含む様々な要素の正確な測定は、なかなかホビーレベルの方達には難しいです。

もちろん、日々の観察に敵う管理はありませんが、時々様々な試薬を使った正確なテストキットで測定するのも大切です。

しかし、それでもそのテストキット自体が正確であるという保証も無いので、この記事では、ドイツにあるトリトン社に飼育水を検査してもらい、水質管理をする方法をご紹介します。

トリトン社で飼育水の検査

トリトン社にアカウント登録し、飼育水を送って検査してもらい、様々な元素の含有量を測定してもらい、飼育水には何が多すぎて何が不足しているかを指摘してもらう、というものです。

→ トリトン社ホームページ

検査項目

飼育水の評価
設定値
※ トリトンラボによる
Unwanted Heavy Metals
Hg(水銀) 0.000000 mg/L
Se(セレン) 0.000000 mg/L
Cd(カドミウム) 0.000000 mg/L
Sn(スズ) 0.000000 mg/L
Sb(アンチモン) 0.000000 mg/L
As(ヒ素) 0.000000 mg/L
Al(アルミニウム) 0.002000 mg/L
Pb(鉛) 0.000000 mg/L
Ti(チタン) 0.000000 mg/L
Cu(銅) 0.000000 mg/L
Macro-Elements
Na(ナトリウム) 10700.000000 mg/L
Ca(カルシウム) 440.000000 mg/L
Mg(マグネシウム) 1370.000000 mg/L
K(カリウム) 400.000000 mg/L
Br(臭素) 62.000000 mg/L
B(ホウ素) 4.500000 mg/L
Sr(ストロンチウム) 8.000000 mg/L
S(硫黄) 900.000000 mg/L
Li-Group
Li(リチウム) 0.200000 mg/L
Ni(ニッケル) 0.005000 mg/L
Mo(モリブデン) 0.012000 mg/L
I-Group
V(バナジウム) 0.001200 mg/L
Zn(亜鉛) 0.004000 mg/L
Mn(マンガン) 0.002000 mg/L
I(ヨウ素) 0.060000 mg/L
Fe-Group
Cr(クロム) 0.000000 mg/L
Co(コバルト) 0.000000 mg/L
Fe(鉄) 0.000000 mg/L
Ba-Group
Ba(バリウム) 0.010000 mg/L
Be(ベリリウム) 0.000000 mg/L
Si-Group
Si(ケイ素) 0.100000 mg/L
Nutrient-Group
P(リン) 0.006000 mg/L
PO4(リン酸塩) 0.000018 mg/L

これだけの項目をご自身で検査してデータ取りをするのは、かなり骨が折れますよね!

トリトン社の検査の手順

いきなりトリトン社あてに飼育水のサンプルを送っても検査してもらえません。

以下の手順で進めます。

1)トリトン社での水質検査を取り扱っているショップでテストキットを購入
2)トリトン社のサイトでアカウント登録
→ トリトン社登録ページ

3)水槽の登録(複数の水槽を登録出来ます)
4)サイト内でバーコードを起動させる
5)サンプルを採り、バーコードを貼り付ける
6)粘着テープのカバーを剥がし、サンプルを同封する
7)お近くのトリトンラボにサンプルを送付
8)ウェブ上でサンプルの測定結果と添加剤の処方が見れる

トリトン社のデータの活用法

非常に精度の高いトリトン社による検査サービスですが、様々な活用法があります。

人工海水の素の検証

世の中には様々な人工海水の素が出回っていますが、お使いの水槽システムや、魚やサンゴの飼育環境に合っているとは限りません。

例えば、特殊な水槽システムの都合で、使用しているゼオライトが有用な元素を吸着してしまうなどの弊害を考慮して、不足してしまう元素を多量に配合しているものもあります。

そこまで極端なものではないにしても、ご自身のお使いになっている人工海水がどういう配合になっているのか知っておいて損は無いです。

飼育水の検証

時間の経過とともに水質が変化していきますが、多すぎる成分が有る場合、それがどこ由来のものなのか特定する必要があります。

もしかしたら、水槽システムを見直す良い機会になるかもしれませんし、場合によっては吸着剤を使うのもアリですが、それが恒久案として考えて良いものかどうか。。。

逆に、少なすぎる成分が有る場合、生体が消費していってるからなので、添加剤を使う事によって、理想の飼育水が維持出来ます。

水換え効果の検証

普段行っている水換えが実際の所、どの程度効果があるのか知る事によって、その頻度を検証する事が出来ます。

水換えにあまり効果が無かったとしたら、水換え量を例えば5%から10%に変えるとか、頻度を毎週1回だったのを2回にするなど色々試していくうちに、ベストな答えが見つかります。

pH(ペーハー:水素イオン指数)について

簡単に言うと、水に溶けている水素イオン(H+:酸性)と水酸化物イオン(OH-:アルカリ性)のバランス状態を pH(ペーハー)と呼び、いわゆる中性の状態を pH =7と定義されています。

7より小さい数字だと酸性、大きいとアルカリ性と言いますが、ここで注意したいのが、たとえば pH=7 → pH=8になった場合、水酸化物イオンの量が10倍になったという事です。

pHとは?

ちなみに、pH は1~14まであります。

海水の pH

海水の pH は、7.8~8.3の間に保つことが必要と言われています。

しかし、適正値の範囲内に収めるにはどうしたら良いでしょうか?

pH の変動に対処する

ここで仮に pH=8を保つ事を例にとって考えてみましょう。

最初は 水素イオン1:水酸化物イオン10 だったとします。

これが例えば水素イオンが7個になると、pH は酸性の方へ傾きますが、バランスを保つには、2つ方法があります。

1)水素イオンを6個減らして1個に戻す
2)水酸化物イオンを60個足して70個にする

上記のどちらも pH=8に戻せるのですが、

1)水素イオン1個と水酸化物イオン10個の、合計11個のイオン
2)水素イオン7個と水酸化物イオン70個の、合計77個のイオン

です。

pH8を維持するには?

同じ pH=8ですが、2)の方はなんだかイオンだらけで胸焼けがしそうですよね!

pH ショック

トリトンメソッドを利用して対応するだけで、自ずと理想の pH になって行きますが、注意したいのが『pH ショック』です。

いくら現状の飼育水が理想の pH からかけ離れていたとしても、生体にとっては徐々に慣らされつつ現在に至ったわけですので、急に pH が変わるような事はしてはいけません。

たとえば pH が『7』だったとして、それで慌てて換水したり添加剤を入れたりして『8』にしたとしたら、前にもお話させていただいた通り、水質は100倍違ってしまう事になります。

個体差や種類によっても pH 変動に対する感受性は違いますが、さすがに100倍もの水質変化が急激に起きるような事をすれば、相当なダメージを受けてしまいます。

水質改善も、ゆっくり時間を掛けて行いましょう。

GH(総硬度)と KH(炭酸塩硬度)について

みなさんは、どのブランドの『ミネラルウォーター』がお好きですか?

ミネラルウォーターにも「この水はおいしい!」というのもあれば、「なんだかまずいネ!」というのまで色々ありますが、一般的に

おいしい水は『軟水』、まずいのは『硬水』

と言って良いでしょう。

その違いは、水に溶け込んでいるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量の違いですが、つまりミネラル成分が少ないものを『軟水』、多いものを『硬水』と呼びます。そして、

カルシウムよりマグネシウムの方が多いと苦くなる!

と言われています。

GH(総硬度)

水の『硬さ』つまり硬度を、GH(General Hardness:総硬度)と呼びます。

なので、総硬度が高ければ『硬水』、低ければ『軟水』と呼ばれるのですが、硬度物質となる、

・カルシウムイオン
・マグネシウムイオン

の合計量ですので、カルシウムイオンとマグネシウムイオンのどっちが多いか?は、GH からはわかりません。

KH(炭酸塩硬度)

・ 炭酸水素イオンに結びつくカルシウムイオン
・ 炭酸水素イオンに結びつくマグネシウムイオン

を合計したものです。
※ カリウムなどの+イオンも含みます。

飼育水に酸性物やアルカリ性物が入った時に、pH(ペーハー)が変動しないようにバッファ(緩衝物)になってくれるものですが、バッファとして機能した時に消費されるので、その度に KH 値は下がっていき、ついには『0』になってしまいます。

そうなった飼育水はバッファが無いので、どんどん期待している pH から変わっていってしまいますので、注意が必要です。

GH、KH、pH の関係

よく、「GH(総硬度)は一時硬度と永久硬度を足したもの」とか、「カルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計」とか言われてますが、いまいち「ピン!」と来ないものだと思いますので、簡単にご説明いたします。

コップに食塩水を凍らせた氷を入れる

食塩水を凍らせて作った氷は、当然ですが0℃以下です。

凍らせる食塩水の濃さにもよりますが、たとえば水100g に食塩10g を溶かした食塩水の場合、その氷の温度は ー5.6℃です。

そのコップに0℃の水を注いでみる

かなり冷たいですが、水を注いでも氷はほとんど溶けず、注いだ水はしょっぱくなりません。

今度はお湯を注いでみる

しかし、少しずつお湯を注ぐと、食塩氷はだんだん溶け始め、水はしょっぱくなってきます。

しかし、食塩氷が有るおかげで、水の温度が上がることはありません。

さらにお湯を注ぎ続ける

食塩氷が完全に解けるまでお湯を注ぐと、水の温度が急に上がるようになります。

それはつまり、食塩氷という『緩衝物』が無くなってしまったからです。

ここで、

・ 食塩氷=KH
・ 解けてできた食塩水=GH
・ 解けてできた食塩水の温度=酸性度
・ 0℃の水=中性の水
・ お湯=酸性の水

と置き換える事ができます。

KH, GH, pHの関係

食塩氷(KH)にお湯(酸性物質)を入れていくうちに、食塩氷(KH)はどんどん減り続けるが、食塩氷(KH)が有る間は溶けてできた食塩水の酸性度は変わらず、食塩氷(KH)が無くなったら(KH=0)食塩水の酸性度は急激に上がりだす、というワケです。

ここで間違えてはいけないのが、「酸性度が上がる」という事はつまり、「pH が下がる」という事です。

飼育水にカルシウムやマグネシウムが KH として溶けていても、そのままではボクらは利用することは出来ず、カルシウムやマグネシウムが GH として溶け出して初めて、ボクらが利用できるようになるんだ!

KH があれば、KH が酸性の水に解けて、GH が出てきます。たとえば、

1)KH=8、pH=7、GH=0の水に、pH=5の水を注ぐと、

2)KH=6、pH=7、GH=2になる。

【結論】 KH がバッファになってくれたおかげで、pH が変わらなかった代わりに KH が消費されて GH として出てきた、という事になります。

1)KH=0、pH=7、GH=0の水に、pH=5の水を注ぐと、

2)KH=0、pH=6、GH=0になる。

【結論】 バッファとなる KH が無いので、pH が下がり、GH は出てこない、という事になります。

※ 上記は便宜的に数値化して表示してますが、実際はこの数値になるわけではないです。

まとめ

1)海水には様々な成分が溶け込んでいるが、Cl(塩素)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、S(硫黄)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)、Br(臭素)、C(炭素)、N(窒素)、Sr(ストロンチウム)、B(ホウ素)、Si(ケイ素)とO(酸素)だけで、ほぼ100%になってしまう。

2)他にもP(リン)、I(ヨウ素)、Zn(亜鉛)、Se(セレン)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Mo(モリブデン)などが、魚やサンゴなどの健康維持に必要。

3)水槽の立ち上げ時は理想的な配合の成分も、飼育を続ける事により増えるものもあれば減るものもある。

4)水質維持のためには、トリトン社の検査データを活用すると良い。

5)pH ショックに気を付ける。

6)KH は pH を安定させるバッファの役割を果たす。

7)KH が酸性の水に解かされた結果、GH が出てくる。

以上、天然の海水を再現するキーとなる水槽の水質検査項目をご紹介させていただきました。

海水に含まれるものについての説明は以上になりますが、人工海水の素を溶かし込まれる側の真水の方も奥が深いですよ!

→ 【海水魚飼育】RO水とは?アクアリウムで失敗しないおすすめの浄水器を紹介!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。